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Willie Clayton "If Your Loving Wasn't Good Enough To Keep Me..."

513wh9zrpl_ss500_ 絶好調にあるウィリー・クレイトン2011年の新作。

 タイトルの長さは、まさに「寿、限り無し」(笑)

If Your Loving Wasn't Good Enough To Keep Me...How In The World Do You Think It Can Bring Me Back? Willie Clayton (SDEG 1980)-2011-

 あらためて、この長ったらしいタイトルはげんなりするが、これも意気込みの表れと受け取り聴いていこう。
 この人は歌のうまさ、声の艶が歳をとっても全く衰えない。
 従って楽曲がよく、丁寧に取り組んでいれば悪いものとはなりようがない。

 結論から言うとこの新作は楽曲の新味ではぐっと後退してしまった。全12曲のうちなんと9曲もが既に歌ったことのあるもの。
 新しいものは3曲しかない。これも僕が数えた限りだから、既出曲はさらに増えるかもしれない。

 既出曲はなぜか古いものが多い。多くは80年代の曲であり英Timelessが編集したアルバム"Open The Door"(1992)で聞くことができるものが多い。

 ところがここで疑問が出てくる。
 いくらなんでも80年代の録音と現在の録音を並べて不自然にならない筈がない。ところが聴いてみるといたってスムーズ。

 まずバックトラックについてはコンピュータのデータをいじっているものがある(完全な作り直しと思われるものも一曲ある)。
 音圧も高め現在の録音と違和感がなくなっている。

 問題は歌だ。
 聴きくらべても昔の録音と違いがわからないものは数曲だけ。あとはみな違っている。ということは新たな吹き込みということになるのだが、旧作との違いはほんの僅かで、聴き比べても声の色艶が殆ど変わっていない。
 20年以上の歳月を経てこんなに声が変わっていないということがあるのだろうか。
 もしかしたら当時の別テイクを使ったのではないかという疑惑(?)がまきおこる。

 最後の疑惑は薄い根拠しかなく与太話と受け取っていただきたいが、それにしても安直なアルバム作りであることは間違いない。

 ジャケットも安易極まりないもので、最近のシーンに打って出るぞという意気込みが感じられない。

 しかしだ。
 じゃあ駄目なアルバムかというと、そこはウィリー・クレイトン。
 凡百の今ものソウルとはグレードの異なる安定感がある。
 だから困ってしまう(買い続けてしまう)とも言えるのだが。

 それでは全曲紹介。ちなみにプロデュースはウィリー・クレイトン本人。リリースレーベルはSDEGとなっているが制作は変わらずEndzone。

1. If Your Loving Wasn't Good Enough To Keep Me...How In The World Do You Think It Can Bring Me Back?
2. Cheating In The Day Light
3. One Night Stand
4. Open Up The Door To Your Heart
5. How Do You Love Two
6. A Woman Needs To Be Loved
7. Show Me
8. Feels Like Love To Me
9. Shining Star
10. Does Your Mama Know
11. Stay
12. Where Has The Love Gone

 寿限無タイトルの1、ルーサー・イングラムの有名曲を思い起こす題で、それに違わぬディープなバラード。シンセ・ホーンの薄っぺらさがかえって目立つのが残念。

 2はスワンプ・ドッグとの競演曲。どこまでもスムーズなウィリーの声に対し、引っかかりのあるスワンプ・ドッグの声の対比が気持ちいい。

 3は出世アルバム"Forever"(1988)既出曲。これは歌もまったく使いまわしだと思う。

 ダレル・バンクスの4は、ずばりタイトル曲としてアルバム"Open The Door"で既出だが、バック歌とも異なる。前回がディープ味を出そうとかえって技巧的だったのに対しウィリーらしい自然な歌いまわしでこちらのほうが好きだ。

 5は無理にがなるブルーズン・ソウルで僕には聴き苦しい。こういう曲に手を出すのは卒業したと思ったが、やはりチタリン・サーキットでは好まれるのだろう。

 6も"Open The Door"に収録済み。ただ音圧が高くなり表情が豊かになっている。ウィリーの歌のうまさ全開。なおタイロン・デイビスの曲とは同名異曲だが、タイロンのものもウィリーはアルバム"Call Me Mr. C"で歌っているのでヤヤコヤシイ(笑)。これについては以前ここと、ここに書いたので興味のある方はお読みいただきたい。

 ウィリーの傑作と言える7も、"Open The Door"で既出。使い回しと思われる。

 8はアルバム"Feels Like Love"(1992)のタイトル曲として既出。これも使い回し。

 マンハッタンズの9も、アルバム"At His Best"で既出。バックコーラスまでウィリーがやっているのがおもしろい曲だが、そのコーラスを含め歌は以前のものの使い回し。ただしバックトラックは微妙に違う。作り直したのではなくコンピュータのデータをいじっただけだろう。

 10はアルバム"Let's Get Together"(1994)に収録のものだが、まずエンディングが長い。歌も同じようでいて微妙に違う。しかし声の艶は殆ど同じで新録音なのかどうかという疑問を一番感じる曲になっている。
 それはともあれ傑作バラードであり、良い音で聴けるようになったのは嬉しい。

 11はアルバム"Simply Beautiful"(1995)で歌った曲だが、バックトラック、歌とも違う。以前の退屈で長いイントロ部分がなくなり、ぱっと歌が出るのがありがたい。7分を越える力唱は見事。しかしもっと短くてもよかった(笑)

 最後の12も"Open The Door"で聴くことができるものとまったく同じ。


 以上、とにかく使い回しばかりでできているアルバム。
 しかし前述した通り、音が格段によくなっており、いま聴くのならこちらになる。

 ところで今年2011年、ウィリーの新作がまた一枚リリースされる。さらにMP3データ配信のみのアルバムも一枚。この調子で出されても困惑するばかりだが、今更後には引き下がれない(笑)

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