The 5 Stairsteps & Cubie "Our Family Portrait"
兄弟グループが成長に従い幼子(あるいは親戚)がメンバーに加わるというのはよくあることで、日本でもフィンガー5がそうだった。ただし(たしか)フィンガー5はグループ名を変えなかったが、この5ステアステップスは律義に名前を加え6人編成であることを宣言している。
Our Family Portrait The 5 Stairsteps & Cubie (Buddah 1008)-1968-
もともとの5ステアステップスは男の子4人(デニス、ケン、クラレンスJr.、ジェームス)に女の子1人(エスター)。新たに加わったキュービーは小さな男の子。
彼らはよくミニ・インプレッションズと評されるが、それはちょっと違うのではないかと思っている。そもそも60年代中期のシカゴのコーラス・グループでインプレッションズに影響を受けなかったグループはありえず、もちろん彼らもそのスタイルに憧れ、大いに参考にしただろうが、完全なフォロワーというイメージは僕は受けていない。なにしろカーティスのようなファルセットのリードがない。
ただこの後、カーティス・メイフィールドが彼らに興味を持ち(彼らのほうからすり寄ったのかもしれないが)、カートムからLPを出す。当然、カーティス色に染まり、まさに小型インプレッションズ。その印象が強すぎるということじゃないかな。
とにかくカーティスが絡む以前のこのアルバムでの印象はなかなか多彩。
SideA
1.A Million To One
2.You Make Me So Mad
3.Something's Missing
4.The Look Of Love
5.The New Dance Craze
6.Windows Of The World
SideB
7.Bad News
8.Tell Me Who
9.Under The Spell
10.Find Me
11.I Remember You
1はスタンダード曲のカバーかな(?)どこかで聞いたメロディ。フィル・メドレー作曲(マンハッタンズのものとは同名異曲)。オーソドックスに歌われフル・オーケストラのアレンジもオールディーズな雰囲気。
2はクラレンス・バークの自作曲。シカゴ・ソウルらしい小粋さで大好き。
3はムードたっぷりの重厚な(といってもシカゴらしい軽みのうえでのことだが)曲調。コーラスや歌の切り込みかたにも工夫を凝らしている。
4はバート・バカラック作品。ただ歌っているだけだが曲がいいので楽しめる。
5は新メンバー、キュービーの幼い声をアピール。しかし曲調はファンクでそのミス・マッチぶりを狙っている。キッズの声が好きな人にはたまらないだろう(笑)
続く6は一転してベースシンガーが活躍。キッズ・グループとはいえベースシンガーがいるのは強い。ただ声はフランク永井みたいだ。そこにファルセットがリードをつける。バート・バカラック作品ということもあり、ポップスのフィールドとして素晴らしい。
B面トップの7は重い感じの100%ソウル。歌は力がはいり、バックのベースもうねる。パーカッションの使いかたといい一番カーティス・メイフィールドを感じる曲。抑えられているようで実はメロディは美しいというのもカーティス的でこれは気にいった。
サイケなギターではじまる8は途中のメロディのサビへの転換が美しく、これも好き。
同じく9も平凡と思わせて途中のメロディが美しい。
7、8、9とクラレンス・バークの個性が光る自作曲が続いたあとの10はオーソドックスなシカゴ・ソウル。リードの歌はそうでもないがコーラスはインプレッションズ風。よくも悪くも子供声というところに注意を促したうえで、これは素晴らしい。
11は50年代アメリカン・ポピュラー的な雰囲気。低い男性と女性(エスター)のツイン・リード。ムードたっぷりで僕は好きだがソウルの感覚は薄い。
以上、バラエティに富んでいる。あれ、どうなっちゃうのとハラハラしながらも、次にはにっこりという展開。
なおアルバムはダブルジャケットで、タイトル「Our Family Portrait」に従い家族写真が何枚か写っている。彼らのお父さんはシカゴの警官だとか、この時代に黒人の子供もボーイスカウトに入ったんだとかなかなか興味深い。
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