« Dorothy Moore "Winner" | Main | 号外 ソウル・ファンジン「Soul Diggers」 »

Richie Havens "The Great Blind Degree"

Richie_havens_great_degree 黒いSSW、リッチー・ヘブンスの71年のアルバム。

 先に蛇足から。

 アメリカ人がレコードを手荒に扱うことには驚かされる。

 向こうから見れば、日本人がレコードを丁寧に扱うことに驚くのかもしれない。

 不思議なのは、レコード盤そのものはダメージが少ないのに、ジャケットだけがズタボロになっているものによく出会うこと。

 おそらくあまり聴かないものをただ積み上げ、放り投げるように移動させたりしていたのだろう。しかし、そんな取り扱いは平均的日本人には想像がつかない。しかも、それを売りに出す神経ときたら(笑)

 というわけで僕の持っているこのアルバムのジャケットの状態はひどい。いつもジャケットは手持ちのものをスキャンするようにしているが、今回のものはどうにもならず、ネットから頂戴した。

The Great Blind Degree  Richie Havens (Stormy Forest SFS 6010)-1971-

 カバー中心のアルバム。しかも取り上げているのは非黒人の曲ばかり。

 あまり黒人だ、ソウルだとこだわるのは不当な差別で、単に70年代初頭のシンガー・ソング・ライター作品としてとらえる。
 そうすれば、すごく魅力的な素晴らしい作品だということがわかる。

 歌が素晴らしい。荒々しい声だが艶がある。自分のギターをかき鳴らし、そこにわずかなバンドが加わるが、そのリズムの乗りがいい。

 声の艶とリズム---結局、黒人はいい(僕の好みにぴったり)ということに落ち着くのだが。

-Side A-
1.What About Me
2.Fire & Rain
3.Tommy
4.In These Flames

-Side B-
5.Think About The Children
6.Fathers & Sons
7.Teach Your Children
8.What Have We Done

 全曲紹介の前にお断りしておくが、当方、一般的なロックやSSW作品に疎いので原曲について生半可な知識でしか書けません。誤りはどんどん指摘してください(笑)

 1はディノ・バレンテなる人の曲。youtubeで原曲を聴きました(笑)。この人はヤングブラッズの"Get Together"を書いているそうです。
 さてリッチーのカバーはオルガンとストリンクスがメロウ、さらにたまに挿入されるヴァイブが効果的で非常にグルービー。恥ずかしい書き様ですが「こみあげ系でフリーソウル的DJにぴったし」でございます。

 2はもちろんジェイムス・テイラー。あまりにオリジナルが好きなので、それと比べればアレですが、違う魅力を十分に引き出しています。JTのようにフィンガーピッキングのギターではなく、ジャカジャカかき鳴らしギターがもたらす高揚もあります。

 3はなんとザ・フーです。高校の頃、映画も観に行ったな~。いっときロックが大嫌い症候群を発症しLP売ってしまったけど。
 リッチーのカバーはバックにシタールが鳴る不思議なアレンジ。サイケデリックな響きの時代感が「今となっては」懐かしく響きます。

 4はBob Brownがオリジナル(※これについてはMasatoさんから情報を頂戴しました)。これもまた、こみあげるような曲調。バックのベースラインとストリングスがソフト・ロックしていて、いいです。

 5はキャット・スティーブンス。はっきり僕の好みはこのリッチーのカバーのほうです。ギターの音が繊細、歌もやはりリッチーのほうが好み。これは僕がソウル・ファンなせいかもしれません。

 6はCSN&Y。小学生の頃、映画「小さな恋のメロディ」で聴いた、いわば僕のアメリカン・ロック初体験の曲です。リッチーのカバーはここでもいいです。原曲を大きく作り替え、ちょっと聴いただけではカバーとはわからないところも好み。

 7はおそらくカバーではなくオリジナル。単曲としては悪くないのですが、このアルバムのしめくくりとしては違和感があります。リッチーのギターはなく、大げさなストリングアレンジ。せっかくフォーキーな雰囲気できたのに、あれれっと。

 以上、最後でちょっと椅子から転げ落ちそうになったけれど、ハッピーな気分になれるアルバム。

 敢えて音楽も消費財、好きなように聴くと開き直ると、「日曜の午後のひととき」をドリーミーに彩ってくれます。フリーソウル的にもイケている。

 買いでしょう(笑)

|

« Dorothy Moore "Winner" | Main | 号外 ソウル・ファンジン「Soul Diggers」 »

Comments

自己コメント。
前半は「だ、ある」調なのに、曲解説になったら「です、ます」になってしまった。
そのくらい心を優しくしてくれる音楽です(笑)

Posted by: Sugar Pie Guy | April 17, 2012 09:28 PM

リッチー・バレンス?(ラ・バンバ!)
SSWって、シンガー・ソング・ライターのことなんですね。50年生きてて初めて聞きました。覚えときます。

Posted by: Lurrie | April 18, 2012 10:49 AM

Lurriesanさん、ホントだ、一カ所リッチー・バレンスって書いてる。
さっそく修正しました。ご指摘ありがとうございます。

SSW=シンガーソングライターは最近の表記かもしれませんね。

Posted by: Sugar Pie Guy | April 18, 2012 11:34 AM

A-4のオリジナルはこの人。http://www.redtelephone66.com/2011/05/bob-brown-willoughbys-lament-1971/


Dino ValentiはQuickSilver Messenger Service。

Posted by: Masato | April 20, 2012 10:17 AM

Masatoさん、情報ありがとうございます。
さすが何でも知ってますねぇ。

5月にお会いできること楽しみにしています。

Posted by: Sugar Pie Guy | April 20, 2012 10:57 AM

The comments to this entry are closed.

TrackBack


Listed below are links to weblogs that reference Richie Havens "The Great Blind Degree":

« Dorothy Moore "Winner" | Main | 号外 ソウル・ファンジン「Soul Diggers」 »